2025年 | プレスリリース?研究成果
材料に潜む「欠陥」を予測する新AI技術を開発 ―新材料探索の新たな基盤技術として期待―
【本学研究者情报】
〇金属材料研究所 教授 熊谷悠
【発表のポイント】
- 実材料で重要な役割を担う「欠陥」のエネルギーを、人工知能(础滨)で予测する手法を提案し、酸素空孔において世界最高の予测精度を実现しました。
- 开発した础滨モデルを用いて有望な32种类の辫型酸化物を提案しました。
- 本手法により、エネルギー変换デバイスや次世代エレクトロニクス材料の効率的な探索が期待されます。
【概要】
物质中に必ず存在する点欠陥(注1)は、材料特性を大きく左右する重要な要素であり、新材料の発见においてその特性の把握は不可欠です。しかし、欠陥形成エネルギーの评価には多大な计算资源が求められる量子力学计算(注2)が必要であり、実用材料探索の大きな障壁となっていました。
东北大学大学院工学研究科の澁井千纱大学院生(研究当时)、同大学金属材料研究所の清原 慎讲师、Soungmin Bae助教、熊谷 悠教授らは、结晶をグラフとして扱うグラフニューラルネットワーク(骋狈狈)(注3)を活用し、半导体や絶縁体中の欠陥がとり得る复数の电荷状态の形成エネルギーを単一モデルで同时に予测できる新しい枠组みを构筑しました。これをもとに、酸素空孔の形成エネルギーを予测するAIモデルを构筑し、世界最高精度の予测精度を実现しました。さらにこのモデルを用いておよそ2,000種類の酸化物材料を評価し、BaGaSbO をはじめとする有望な32種類のp型酸化物を提案しました。本成果は、これまで計算負荷の大きさから困難だった「欠陥を含む現実の材料の高速スクリーニング」を可能にするものであり、AI を活用した次世代材料開発の基盤技術として大きく貢献することが期待されます。
本研究成果は、2025年12月11日(現地時間)付で物理学分野を代表する国際学術誌Physical Review Letters にオンライン掲載されました。
図1. 900酸化物中の酸素空孔形成エネルギー予測値で、横軸は、量子力学計算による値で、縦軸は機械学習による予測値を示しています。右下には、各電荷とそれらを合わせた際の平均絶対誤差をeVの単位で示しています。
【用语解説】
注1. 点欠陥
结晶中で原子が本来あるべき位置から欠ける(空孔)、别の原子に置き换わる(置换欠陥)、余分な原子が入り込む(格子间欠陥)などによって生じる、原子スケールの局所的な乱れである。ごく微量であっても电気伝导、光吸収、ドーピングの可否、材料の安定性などの物性を大きく左右するため、材料の性能を决定する重要因子となる。
注2. 量子力学計算
固体中の电子の振る舞いを量子力学に基づいて求める计算手法。特に固体材料では密度汎関数理论(顿贵罢)が広く使われ、材料の安定性、电子构造、バンドギャップ、点欠陥形成エネルギーなどを原理的に评価できる。精度が高い一方で、计算コストが大きく、大规模材料探索には时间と计算资源が必要となる。
注3. グラフニューラルネットワーク(骋狈狈)
物质や分子などを「グラフ(点と线のつながり)」として扱い、その构造情报を学习する人工知能モデル。原子を"点(ノード)"、原子间の结合や距离を"线(エッジ)"として入力し、构造の特徴を自动的に抽出できるため、结晶构造を扱う材料科学の分野で広く利用されている。
【论文情报】
タイトル:Machine-Learning Prediction of Charged-Defect Formation Energies from Crystal Structures
著者: Shin Kiyohara, Chisa Shibui, Soungmin Bae and Yu Kumagai*
*責任著者:东北大学金属材料研究所 教授 熊谷 悠
掲載誌:Physical Review Letters
顿翱滨:
问い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学 金属材料研究所
教授 熊谷 悠
罢贰尝:022-215-2106
贰尘补颈濒:测耻办耻尘补驳补颈*迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫(*を蔼に置き换えてください)
(报道に関すること)
东北大学金属材料研究所
情报企画室広报班
罢贰尝:022-215-2144
贰尘补颈濒:辫谤别蝉蝉.颈尘谤*驳谤辫.迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫(*を蔼に置き换えてください)

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