2025年 | プレスリリース?研究成果
指向性結合が生み出す神経ネットワークの複雑性 ?マイクロ流体デバイスを用いた生体機能の再現と数理モデルの構築?
【本学研究者情报】
〇电気通信研究所 准教授 山本英明
【発表のポイント】
- 神経细胞をマイクロ流体デバイス(注1)上で培养し、回路のつながり方に「向き」を与えることで、生物脳に近い复雑な活动パターンの再现に成功しました。
- 実験データを基にした数理モデルを构筑し、神経回路のつながり方が活动に与える影响を予测可能にしました。
- 神経科学の基础研究に加えて、医疗や工学などでの広范な応用が期待されます。
【概要】
自然科学の基础研究は、実験と理论が协力し合いながら発展してきました。例えばニュートン力学では、実験で観测された物体の动きを説明するように、理论や法则が作られ、さらにその正しさを検証するための実験が行われました。同様に、脳神経科学も、生物実験と数理モデルの研究が协调することで、脳の机能やその原理に関する知见をもたらしてきました。しかし、生物の脳は非常に复雑なため、神経细胞ネットワーク(注2)に関する数理モデルを生物実験に持ち込んで検証することは、一般的には困难でした。
东北大学电気通信研究所の门间信明大学院生(大学院工学研究科)、山本英明准教授、佐藤茂雄教授らと大学院情报科学研究科の藤原直哉准教授の研究チームは、マイクロ流体デバイスを用いることで、神経细胞の配置やつながり方が人工的に制御された神経ネットワークを実験系で実现しました。そして、スパイキングニューラルネットワーク(注3)を使ってこの実験に対応する数理モデルを作成し、神経回路のつながり方が活动の复雑さに与える影响を予测できるようにしました。その结果、生物の脳でも见られるような复雑な発火パターンを形成する上で、神経细胞同士のつながり方が「向き」を持ち、信号が特定の方向に伝わりやすくなることが重要な因子であることを突き止めました(図1)。
本成果は2025年1月4日に科学誌Neural Networks に掲載されました。

図1. 本研究の概観。つながり方が人工的に制御された培養神経回路を数理モデル(スパイキングニューラルネットワークとマルコフ連鎖モデル)に落とし込んでいる。
【用语解説】
注1. マイクロ流体デバイス
マイクロスケールの3次元形状を持つ、微细加工が施されたデバイス。
注2. 神経細胞ネットワーク
脳を构成する神経细胞が神経突起を伸ばし他の细胞とつながることで形成される回路网。神経突起は轴索と树状突起に分类され、それぞれが出力素子と入力素子を担っている。
注3. スパイキングニューラルネットワーク
神経细胞が発生させるスパイク信号をシミュレーションすることができる生物学的妥当性が高いモデル。
【论文情报】
タイトル:Directional intermodular coupling enriches functional complexity in biological neuronal networks
著者: Nobuaki Monma, Hideaki Yamamoto*, Naoya Fujiwara, Hakuba Murota, Satoshi Moriya, Ayumi Hirano-Iwata, and Shigeo Sato
*责任着者:东北大学电気通信研究所 准教授 山本英明
掲載誌: Neural Networks
顿翱滨:
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学电気通信研究所
(兼)东北大学材料科学高等研究所 (WPI-AIMR)
(兼)东北大学大学院工学研究科
准教授 山本英明
TEL: 022-217-6102
Email: hideaki.yamamoto.e3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学电気通信研究所
総务係
TEL: 022-217-5420
Email: riec-somu*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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