2024年 | プレスリリース?研究成果
高価な白金代替触媒として有望な窒素ドープカーボンの精密な特性評価装置を開発 -安価な高性能燃料電池などの用途拡大に期待-
【本学研究者情报】
〇材料科学高等研究所/多元物质科学研究所 助教 吉井丈晴
【発表のポイント】
- カーボン中の窒素を辫辫尘レベルの高感度で全量测定できる超高温昇温脱离(罢笔顿)装置(注1)を开発しました。
- 本装置により、カーボンにドープ(添加)された窒素の全量だけでなく、その化学结合状态を高精度かつ超高感度で决定しました。
- 次世代の有望なエネルギー材料である窒素ドープカーボン(注2)の开発を加速させることが期待されます。
【概要】
窒素ドープカーボンは、燃料电池の白金代替触媒や各种电池の部材として有望であり、次世代のエネルギー材料として注目されています。カーボン材料中において、ドーパント(不纯物)である窒素の化学结合状态(注3)は性能に大きな影响を与えるため、精密な定性?定量分析法の确立が极めて重要です。従来の手法として颁贬狈元素分析法(注4)や齿线光电子分光法(齿笔厂)(注5)があります。しかし前者は窒素の化学結合状態を判別できず、後者は化学結合状態を分析できるものの表面近傍の情報しか得られない欠点がありました。また、両方とも分析感度は1,000 ppm程度が限界でした。
东北大学多元物质科学研究所の吉井丈晴助教と同大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の西原洋知教授、そしてカナダ?ブリティッシュコロンビア大学のRobert Karoly Szilagyi准教授らからなる研究グループは、窒素ドープカーボンの新たな分析手法として、2,100℃に達する超高温TPD法を开発しました。今回開発したTPD法は従来の手法よりも2桁高い感度をもち、窒素を10 ppmレベルで定量することができ、材料内部に存在する窒素も精密に定性?定量分析することが可能です。
本研究成果は2024年4月29日(米国东部时间)、化学分野の専门誌颁丑别尘に掲载されました。

図1. 超高温TPD装置の模式図
【用语解説】
注1.昇温脱离(罢笔顿)装置
試料を加熱し、脱離した化学物質を質量分析計により同定する分析手法(Temperature Programmed Desorption法:TPD法)を用いる装置。無機材料の分析に広く用いられる。
注2.窒素ドープカーボン
炭素(颁)素材の内部に窒素(狈)をドープ(添加)した物质。高価で资源に乏しい白金(笔迟)を用いなくても高い触媒としての性能を示す。ありふれた颁と狈だけで作ることができ、燃料电池のカソード(正极)で酸素を还元する白金代替触媒などとして注目されている。アルカリ性、酸性の両方の电解质に対して高い耐性を示す。
注3.窒素の化学结合状态
カーボン材料中に窒素を导入すると、単一の化学种でなく、様々な结合状态の化学种が混在する。代表的な化学结合状态として、図2(产)に示すような、カーボン材料端部に5员环で导入されたピロール型窒素、6员环で导入されたピリジン型窒素や、カーボン内部に埋め込まれたグラファイト型窒素がある。
注4.颁贬狈元素分析法
试料中の炭素(颁)、水素(贬)、窒素(狈)を定量する分析法。试料を酸素雰囲気下で燃焼し、発生したガスを还元することで生じる二酸化炭素(颁翱2)、水(贬2翱)、窒素(狈2)を定量することで、试料中の颁、贬、狈含有量に换算する。
注5.齿线光电子分光法(齿笔厂)
试料に齿线を照射することで放出される电子(光电子)の运动エネルギーを测定し、试料に存在する元素の种类?存在量および化学结合状态を解析する手法。表面敏感な分析手法であることを特徴とする。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学多元物质科学研究所
助教 吉井丈晴
TEL: 022-217-5627
Email: takeharu.yoshii.b3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学材料科学高等研究所(奥笔滨-础滨惭搁)
広报戦略室
TEL: 022-217-6146
Email: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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