2023年 | プレスリリース?研究成果
未来の行動のための視覚処理促進を実現する脳機能 手が移動する前に手の移動先に向けられる視覚的注意の発見
【本学研究者情报】
〇电気通信研究所 教授 塩入諭
【発表のポイント】
- 手を移动させるときの脳波を计测したところ、意识的に注意を向けること(トップダウン注意(注1))なく、移动先の视覚処理を促进すること(注意効果)を示しました。
- 手の移动先の注意効果は、移动のゴール付近で顕着であり、周囲に広く広がるトップダウン注意と异なることを示しました。
- 本成果はトップダウン注意と异なる机能を持ち异なる脳処理に依存した、手の移动先に向けられる注意が存在することを意味します。これは手による効果的な操作に贡献していると考えられます。
【概要】
脳の注意効果には意识して向けるトップダウン注意と、明るい対象など目立つ刺激に向けられるボトムアップ注意(注2)の2つがあることが知られています。また近年、手の周りなどの视覚刺激に対する身体性注意という注意効果があることも指摘されています。手の周りに视覚的注意を向けることは、手で様々な操作を行うために有効であり、手が动くときはそれに先行した注意効果があるはずです。
これまで指差しが求められる実験において、指差しをする以前に注意効果が生じることが报告されています。しかしその机能がトップダウン注意であるかそれとは异なる処理过程によるのかは不明でした。
东北大学の研究グループは、手の运动のゴール位置と异なる场所にトップダウン注意を向けた场合にも、ゴール位置への注意効果があることを脳波计测によって明らかにしました。手の运动のゴール地点とトップダウン注意位置は大きく异なることから、両者が异なるメカニズムによることがわかりました(図1)。したがって手の运动のゴール位置には、意识的に向けるトップダウン注意とは别の注意メカニズムが働くことがわかります。この効果は手が见えない条件でも得られることから、手の运动を制御する脳処理の过程からの视覚処理への影响と考えることができます。
本成果は2023年5月8日、神経科学分野の国際誌Journal of Cognitive Neuroscienceに掲載されました。

図1 人は日常生活で様々な作业を同时に行うことができます。そのためにはそれぞれの作业に対して必要な注意を向けていると考えられます。例えば笔颁作业中に饮み物を取るとき、手に取るカップに注意が向けられると考えられますが、それは画面に注意を向けたままでも可能かもしれません。本研究では画面に向けられた注意とは别に、手による操作対象に向けられる注意があり、しかもそれは手が动く前から働くことを明らかにしました。画面での作业のために向ける注意、トップダウン注意は、注意位置の周りに広がる(右図础)のに対して、手の动きのゴールの注意は、その周囲に限定される(右図叠)ことも明らかにしたことから、2つの异なる注意プロセスがあると考えられます。
【用语解説】
注1. トップダウン注意
视线を正面に向けながら视野の片隅でものをみることができます。そのときには视线と独立に意识的に注意を向ける対象を决め、その位置での情报処理を选択的に促进していると考えられています。视线を固定していても、注意を向けた位置に提示された视覚情报はそれ以外の位置に提示された场合に比べて、処理が早く正确であり、また见落とすことが少ないことが知られています。
注2. ボトムアップ注意
视野内に突然光るものが现れた场合に、そこに注意が引きつけられます。そのような场合には、视线も向けられますが、视线が固定されている场合でもその効果があることは実験的に示されています。また、视线移动がある场合も注意効果はそれに先立って生じていることもわかっています。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学电気通信研究所
教授 塩入諭
TEL: 022-217-5468
E-mail: satoshi.shioiri.b5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学电気通信研究所
総务係
TEL: 022-217-5420
E-mail: riec-somu*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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