2021年 | プレスリリース?研究成果
自分の身体ではなく、自分の行為への気づきが、運動能力を向上させる ?運動主体感の人工的操作がリハビリテーション成功の鍵?
【発表のポイント】
- 见ている身体を自分の身体であると気づくとき、人间は以下の二つを経験し、これら二つの経験が运动能力の向上に関わっていると仮定されていました。
1.见ている身体を自分の身体の一部だと感じる(身体所有感)注1。
2.自分が身体を动かしていると感じる(运动主体感)注2。 - 自己身体の気づきにおける、これら二つの経験のうち运动主体感だけが、运动能力の向上に関わっていることが本研究で判明しました(図1)。
- 本成果は、运动机能障害のリハビリテーションや身体能力开発において、运动主体感の人工的操作が有効である可能性を示唆しています。
【概要】
运动能力の改善を目的とした「自己身体の気づき」(自分の身体感覚)の人工的操作に関する研究が世界中で活発に行われています。これまで「身体所有感」と「运动主体感」の両方が运动能力の向上に関わっているとされていましたが、自分の手などの动いている身体部位を见ると「身体所有感」と「运动主体感」を同时に感じてしまうことから、二つの気づきを実験的に分离することは极めて难しく、両方の気づきが运动能力に影响を与えることを実証した研究はありませんでした。
东北大学大学院情报科学研究科の松宫一道教授は、バーチャルリアリティ技术を用いて、见ている手に対して「身体所有感」はあるが「运动主体感」がない状态やその逆の状态を人工的に创り出す手法を开発し、「运动主体感」だけが运动能力の向上に関わることを世界で初めて明らかにしました。本発见は、运动主体感の人工的操作が运动能力の改善に有効であることを示しています。この成果は、运动机能障害のリハビリテーションや身体能力开発などにおいて、身体感覚の操作手法における新たな道を开くことが期待されます。

図1.二つの「自己身体の気づき」と本研究成果.
手などの身体部位を自分の身体の一部であると认识したり(身体所有感)、その身体部位を动かしているのは自分であると认识したり(运动主体感)することができる。通常、これらの二つの感覚は同时に感じられ、心の中でうまく区别できないため、どちらの感覚が运动能力に影响を与えるのかは不明だった。本研究は运动主体感だけが运动能力の向上に関わることを発见した。
【用语解説】
注1:身体所有感
手などの自分の身体部位を见たときに、その身体部位が自分の身体の一部に属していると感じる経験。身体所有感は、身体部位が动いていても静止していても生じる。脳の头顶叶などを损伤した患者の中には、自分の手を他人の手と感じる症例报告がある。
注2:运动主体感
手や口などの动いている身体部位に対して、その身体部位を制御しているのは自分であると感じる経験。运动主体感は、身体所有感と违い、能动的に身体を动かしたときのみ生じる。运动麻痺を有する患者の中には、自身の麻痺を认めない病态失认を伴う患者が存在する。そのような患者は、麻痺肢を自分の意思で动かせないにも関わらず、麻痺肢に対して运动主体感の错覚を経験するという症例报告がある。
问い合わせ先
<研究に関すること>
东北大学 大学院情報科学研究科
教授 松宫一道
Tel: 022-795-4564
E-mail: matsumiya*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
<报道担当>
东北大学 大学院情報科学研究科 広報室
〒980-8579 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-3-09
Tel: 022-795-4529
Fax: 022-795-5815
E-mail: koho*is.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)